第三章 友の味

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『謝ってばかりだな。もういいって…こうして会えたんだし気にしないでよ。大したことなかったんだし、なっ。』 その笑顔は温かく彼の優しさが伝わった。 『あの…一つ聞いてもいい? 気になっていたんだけどあの時、何であんな夜遅くに病院へ行く用があったの?あなたもしかしてあそこに入院しているの?住んでいるの?それとも、あそこのドクターとか?』 その質問に目が点になっている。 『ドクターに見える?俺が…ん、病院に住んでるか…近いけど違う、俺じゃないよ。 親父が入院してるんだ。俺、夕方近くから仕事をしてるから終わってから病院へ見舞いに行くんだ。 だからこないだも行く途中にジュリエットに会ったんだ。』 『雨が降っていたのに…しかもバイクだったじゃない?…あっ…変なこと聞いてごめんなさい。』 思ったことがつい口に出てしまい、申し訳なさそうに下を向いたがそんな事など気にせず彼は色んな事を隠さず話してくれた。 『ほら、また謝る…やめろって。 あんな時間だと交通手段がないだろ、行きはいいけど帰りがな。だからいつもバイクなんだ。 雨だろうと雪だろうとなんかあったらって思いたくないけど、もしってこともあるし後悔だけはしたくない。 こないだも言ったけど唯一の家族だから。 あんな姿だけど…返事もしてくれない、何も話してはくれないけど大事な親父だからさ、後悔はしたくないんだ。 …健じいには言わないでくれな。 話そうか迷ったんだけど男のブライドってやつかな、昔の恋敵にあんな姿、親父も見られたくないだろうし。心配や同情を嫌う人だから。 …俺なら大事な友達に同情なんてされたくない。 それに健じいのあの性格じゃ心配しすぎるだろうし だから言わないほうがいいと思ったんだ。』 その真っすぐな瞳はどこか冷静で、でも淋しげで、辛そうだった。 『じゃ、あなたが平気のようなら今からお見舞いへ行きましょう。あなたのお父さんに会いに行こう。』 急に言い出す様子にレイはまた目が点になっている。
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