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プロローグ
まだ小学4年生ぐらいだった頃。可愛い事が、この世の全てだと思い込んでいた。
丸いおでこ、大きくて黒目がちな瞳、愛らしい唇。その全てを持ち合わせた自分は、既に人生の勝ち組だと確信していた。
「光希(みつき)ちゃんは、本当に可愛いわねぇ」
右隣に住む鈴木のおばちゃんは、いつもそうやって、地元の愛媛ミカンを分けてくれた。
「みっちゃんは、大きくなったら町一番の美人さんになるだろうねぇ」
左隣に住む佐藤のおじちゃんは、いつもそうやって駄菓子代にと10円をくれた。今はもう駄菓子屋さんなんて無いんだよ、と言っても、「めんこい、めんこい」と聞く耳を持ってはくれなかった。
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