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今日は大晦日。朝から大掃除で大変だ。
キッチンや風呂場、トイレなどはもちろんのこと、ドアノブや手すり、玄関に至るまで、重曹やセスキ炭酸ソーダなどを使ってちょっとのほこりさえ見逃さない。
そのあとは、もう着ない服やもう読まない本、もうしないゲームなど要らない物を中古屋へ持って行く。たいした金額にはならないが、家にあってもスペースを取るだけだし、一円にもならないから。それを有料で買い取ってくれるというのだから、どんなに低価格でも私は満足だ。
これで家の中は一通りキレイになる。朝から始めたというのにもう昼の3時だ。30分ほど休憩して、スマホを手にとりラインを開く。今年親しくした友達たちのトークルームを開いて、この一年で交わしたやりとりを読み返していく。色々なことが思い出される。楽しかったことや悲しかったこと、喧嘩したことや慰め合ったこと……、本当にたくさんの思い出が私の脳内に刻まれていく。
「絶対に、忘れないよ」
私はそう心の中で呟く。
私はラインのアカウントを削除して、全てのメールアドレスも削除する。心にポッカリと大きな穴が空いたような気持ちになった。でも決して、後ろ向きな気持ちではないのだ。明日は元旦。去年もしたように私は天井を見ながら思う。
「来年はどんな出会いが私を待っているのだろう」
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