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マジで何でこんなことされてんのかわからないけど、抵抗も虚しくシャツを胸の上までたくし上げられたしそのまま臍から胸まで、つ、と指で撫でられ背中がぞわっとして「ひ、」と情けない悲鳴が出てしまう。
「先輩、やだ、マジ、ん……っ」
やめろと体を捻り逃げ出そうとする俺の顎を掴んでキスをされてしまえば、訳のわからなさと徐々に頭が麻痺して気持ちよさに刷り変わって思考も動きも鈍るが与えられる刺激にすぐに体が反応した。
「や、何……ば、マジで先輩、マジで!」
何を思ったのだろう、才賀先輩は俺の胸を揉みしだきながら突起を指の腹で押さえつけるように軽く潰してきた、けど快感ではなくくすぐったさともどかしさに鳥肌が立つ。
男の胸なんか触って何が楽しいんだ、柔らかくもないし、女子と違って触ってもよがったりしないと言う知見まで得てしまった。
俺の知ってるAVではお姉さんがそこを触られるだけであんあん言って、いやそうじゃない俺、俺は触ってる方じゃなくて触られてる方だ。
「……気持ちよくないのか」
「ない、からやめ……ん、んん……」
顎を撫でられると同時に唇を塞がれ、すぐに離れるそれに物足りなさを感じると間近の先輩はクスッと見たことがない色気を含んだ笑みを浮かべる。
「これは、気持ち良いんだな」
「……先輩」
「ん?」
「楽しい……んすか?」
冷静に考えてもみろ、男を押し倒し何度もキスしてついに胸まで揉んでるイケメンってどうなんだ、何が楽しいんだよ、俺の中では才賀先輩は男に恋愛感情向けられて辟易してますみたいなイメージがあった、個人的な意見だけど。
「お、男の俺に、こ、こんなことして、先輩はその……楽しいんだ?」
「ああ、楽しいし堪らない。キスをして気持ち良さそうな顔をする凩を見て、正直、興奮している」
興奮。
言葉を理解し飲み込んで、俺は先輩の下半身をチラッと見る、よりも先に太股に押し付けられる。
グリッ、とした固い感触に思わず喉がヒュッと鳴り先輩の胸元に両手を押し当てた。
「や、先輩、落ち着いて、こ、ここ、ここ生徒会室でしょ! こう言うのは良くないと思いますし俺ほら童貞でそう言うの詳しくないから先輩のお楽しみにならないんじゃないかと思うんですよねあーこれはもう先輩の息子も萎えるしかないな!」
「心配する必要はない」
「何、や、だってぇ……っ」
腹の下の方を撫でられ、思わずくすぐったさに声が上擦ってしまえば「凩は」と才賀先輩は腹を撫でてる方じゃない方で背中を撫でてくる。
「……誰に、触られたんだ?」
「っ、は? 何、がすか……って、や、マジどこ触って……!?」
するり、と両手が俺の股間と尻を同時に触れ、やんわり撫でてくるので危うく舌を噛み切るとこだった。
スラックス越しにするすると動く前後の刺激に、無防備だった下半身ごと緊張して股を閉じようと咄嗟に動くが先輩は股の間に体をねじ込み俺の左足は先輩の右肩に乗ってしまった。
いや何この体勢、絶対ヤバいやつ。
「や、し、尻と股間触られるのはぼけっとしてる奴だけじゃないのか、俺今してなかったんだけど!」
「誰かに言われたのなら正解だな、凩は今ほぼ無防備だった」
「だったら触るのやめ、ひっ、ぃ」
前を握られ、急所を文字通り掌握されてる事実に体が緊張する。
誰かにそんなとこを触られる経験がない、握らされた経験なら残念なことに先日あるけど、友人ともそう言う接触したことなんてなかった。
AVを回すことはあったけど。
「や……だ……っ」
スラックスの下がどうなってるのかわからないけど、気持ち悪さを覚えて触れられ芯を持ち始め先走りで下着が汚れ始めたことにじわ、と視界が滲む。
マジで何でこんなことになったんだ、陣先輩に付けられたキスマ見て才賀先輩にこんなことされなければならないんだ。
ガチャガチャ、と金属音が聞こえそれがベルトを緩められてることに気づいた時はすでに遅し、あっと声を上げるもスラックスは下着ごと引き下げ抜かれた。
声にもならない短い悲鳴が喉をヒクッとさせる、だって俺今、生徒会室のソファーでほぼ全裸にさせられてるんだ。生徒会長の手によって。
「何して、んすか……も、この状況、ヤバ過ぎ……ひ、んぐ」
既に芯を帯び先走りで濡れた緩く勃ってた性器を直に握られ、ゾクッと体が震えるのもつかの間、尻も生で揉まれ理解できない。
「や、だ、先輩、ほんと……何でこんな、正気じゃないの、何、疲れ過ぎておかしくなって、っ、は、んすか……!?」
「おかしく、なったのかも知れない。お前が誰かにもう汚されたと思ったら」
「は!? ん、……汚され、んぐ、ぇ」
性器を上下に擦られ会話をしようとした口の中に、指が3本差し込まれ「舐めろ」と短い命令が飛ぶ。
首を横に振れば、舌を指で押され思わず口を大きく開けば舌を人差し指と中指に掴まれ、舌を揉むように触られた。
涎が口の端から溢れ、涎でべとべとになった先輩の指はスッと口内から抜かれる。
「あ……は、あ、……っ、いっ、!?」
ぬる、とした感触が尻の窄まりに宛がわれ、は? と思った瞬間、ずぷと異物感が。
「ぁ……?」
「……キツいな」
や、や、待て待て待って、ぶわっと冷や汗が出、ぐっと押し込まれ中に何か差し込まれた理解した瞬間にほぼ全裸の俺とは対称的に制服を纏ったままの先輩の上着を握り締めた。
「指……!?」
「解さないと、駄目だろう」
解すって何、解すって何、解すって何!?
「やめ、待っ、そんなとこ、指……挿れるの、医者だけ、じゃん……!?」
「凩は指を挿れられずに行為に及んだのか?」
「何言って、んのか、マジでわからないから……! お、俺に、こんなことし、したの、才賀先輩だけ、なんすけど……! まだ医者にも見てもらったことないし!」
と言うか、え!?
指突っ込まれて解すとか言われてるってことは、俺に先輩が挿れようとしてるってことか!?
どうしてマジでえ、ハード過ぎてよくわからない、何でそんなことになってんだ!?
「き、キスとか、も……訳わかんないし、性器触られたこともない、のに、尻に指突っ込まれ、て……全裸だし、何だよこれ……!」
大体キスマ付けられたのは被害者アピールだったはずなのに、こんなの首絞められた時よりダンチでハードな状況になるなんて思わないだろ、と視界が滲んで「指、抜いて……」と泣きそうな、いやもう泣いてる、泣きながら頼めば、才賀先輩は目を丸くしていて。
「……凩は、こう言うことをしたことがないのか?」
「ど、う、生きてたら、したことある、ぁ……前提にされる、んすか……! 先週まで、キスもしたこと、ない……童貞なんすよ! それから一週間でこんな出来事起こるかよ……!」
悔しさで左足の膝裏で先輩の右肩を叩けば、そんな俺をじっと見つめてから、尻の中の異物感はずる、とゆっくり引き抜かれた。
「ひ……っ、は……、あ……」
「凩……お前は、誰にもこのようなことを、本当にされていないのか?」
ギシ、と音を立ててさっきまで突っ込まれてた方の手が俺の顔の横に置かれ、才賀先輩は顔を近づけてくる。
何でされたこと前提なんだよ。
「ない……今、先輩にされた、こと、全部……誰にもされたこと、ないっす……けど」
「誰にも……なら、これは?」
するっと首、事の発端となった原因のキスマを撫でられた。
「……話せば、長くなるんすけど」
「ああ、教えてくれないか?」
「うん……その前にさ、服、着させてくれない?」
俺今全裸も同然なんだよ、と言えば、才賀先輩は一瞬悩んでから、ものすごい渋々と言った様子で俺を解放してソファーから降りるので、俺はすぐにスラックスを回収して下着ごと引き上げる。
先走りとかでぐちゃぐちゃで不快感最悪だが下半身丸出しより断然マシだ、上も直して座り才賀先輩を見上げ、事の経緯を説明した。
日曜の件と、それの被害者として傷があった方が良いと絆創膏を付ける為にありがた迷惑なことにキスマを付けられたことを。
「ただ付けられただけなんで……」
「……、……誰に、付けられたんだ?」
「は?」
「これは、これだけは、俺が初めてじゃなかっただろう」
伸びてきた手が首を撫でられ、何言ってんだこの人と思って、素直に陣先輩に付けられたと言おうとしてやめた。
「やだ、教えない」
「凩」
「絶対やだ、めっちゃキスされて胸も股間も尻も触ってきたじゃないすか、キスマ以上にセクハラしてきたの才賀先輩じゃん」
「そうだな……それに関しては謝るつもりはない。痴漢扱いされたんだ」
「完璧痴漢じゃないすか……何だよ、前にキスされた時は善意だったから許せたけど、今日のこれは完全セクハラだから絶対許さないんで」
残り僅かの仕事終わらせてさっさと帰ろうと伸ばそうとした手は、横から伸びてきた手に掴まれる。
「許さなくても良い」
「は?」
「許さないと言う感情を向けて、意識するんだろう? お前は、俺に……感触を思い出す度に俺を思い出して、意識して欲しい」
「何、言って……」
「お前の初めては、俺が欲しい。だから、今度は……途中で止めないように」
ちゅっと手の甲に口付けされ、何してんだと思いつつ言われた言葉の意味を理解して頭と体が沸騰しそうなほど熱くなるのを感じて掴まれた手を振りほどいた。
「つ、疲れてるんじゃないっすか、早く帰って寝た方が良いっすよ!」
「お前が帰らないと帰れないんだ。俺の今日の仕事はもう終わっているからな」
「じゃあ邪魔しないで貰えます、もう終わるんで」
「邪魔? 邪魔と言うのは……こう言うことか?」
肩に手を置いて顔を近づけると一瞬でキスをされ、この短時間でされ過ぎて俺の頭もバグったのか気持ち良さに思わず目を瞑ってから、ハッとして肩を押す。
「そ……う言うの!」
手の甲で唇をごしごしと拭って作業を爆速で終わらせ、出来上がったのをテーブルの上に整頓させてから立ち上がって鞄を拾い抱き締めた。
「帰るんで……」
「待て、凩。もう生徒玄関は閉まってる時間だ。出口は違うから一緒に帰ろう」
「やだ、俺、生徒会に接触禁止令出てるんで、才賀先輩と一緒に帰りたくないっすね……」
「この時間校内に居る生徒は居ても風紀委員くらいだろう、誰も見てないから出口までだけでも」
「……」
「そこまで意識されると悪くないな。俺の傍に居れないほど俺のことで頭がいっぱいなのか?」
「ちくしょう……」
警戒心とやらで避けようとすると才賀先輩がご機嫌になるので、じゃあ出口まで、と結果的に一緒に薄暗い校内を歩くことになった。
裏手から外に出ると「寮は向こうだ」と教えて貰い、どうも、と頭を下げて逃げようとした俺の肘がぐっと掴まれる。
「キスは嫌がらなくなったのは、嬉しいよ」
と頬にキスされ、バッと振り返れば「おやすみ」と優しく笑う才賀先輩が月明かりに照らされてて、イケメンヤバとビビりながら「マジセクハラっすからね……」と呟いて寮まで走って逃げた。
尻に指を突っ込まれると言うショックな出来事に泣きたいのに、俺の心臓は唇と手の甲と頬に残る才賀先輩の唇の感触にバクバクと鳴るので、心臓の音がうるさいのは走ってるからと言い訳をするために速度を上げたのだった。
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