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数秒間、沈黙が続いた。やがて、俺から口を開いた。
「にしても歌上手いね。歌手になれるよ」
「ありがとう……私、子供が好きだから、歌のお姉さんになりたいな」
「きっとなれるよ。白川さんかわいいし」
「ふにょ? あ、ありがとう」
笑みを浮かべながら、春香は頭を下げた。ふにょ?
「ところで、長岡くんは、なにしに来たの」
「あ、忘れてた。置きっぱなしにした宿題を取りに来たんだ」
「ふふ。長岡くんって、うっかり屋さんなんだね」
「うるさいな。じゃあ、またな」
そう言い、俺は教室を後にした。宿題を置いたまま……。
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