34人が本棚に入れています
本棚に追加
天使降臨
マスクメロンよりもずっと甘い歌声が、教室の中から聴こえる。
扉を少し開け、中の様子を窺う。そこで目にしたのは、机の上に立ち、両手を広げ、自分の世界に浸りきっている、黒髪の女の子。
「天使だ……」
無意識に口から零れ落ちた。現世のあらゆる風景が、無色に感じてしまうくらいに、彼女は虹色の輝きを放っていた……。
すっかり魅了された俺は、ケーキに群がる蟻のように、フラフラと足を踏み入れる……が!
椅子に足を引っ掛け、前のめりに転んでしまった。ガタン! という音が教室に響く。
「ひぇっ! 誰?」
最初のコメントを投稿しよう!