天使降臨

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天使降臨

 マスクメロンよりもずっと甘い歌声が、教室の中から聴こえる。  扉を少し開け、中の様子を(うかが)う。そこで目にしたのは、机の上に立ち、両手を広げ、自分の世界に浸りきっている、黒髪の女の子。 「天使だ……」  無意識に口から(こぼ)れ落ちた。現世のあらゆる風景が、無色に感じてしまうくらいに、彼女は虹色の輝きを放っていた……。  すっかり魅了された俺は、ケーキに群がる蟻のように、フラフラと足を踏み入れる……が!  椅子に足を引っ掛け、前のめりに転んでしまった。ガタン! という音が教室に響く。 「ひぇっ! 誰?」
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