出逢い

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出逢い

 家に帰ってもどうせ自分のご飯はない。このままどこかで食べて帰ろう。 家とは逆の方向に歩きだす。夕方の時間、日が沈み始め太陽の日差しが眩しくぼくを照らす。それがまた切なくて心にズッシリとのしかかってきた。 いつの頃からか家には自分の居場所がなくなっていた。そうぼくの頭では親の期待に応えられなくなったとわかったあの日から両親の態度が変わり始めた。そしてぼくの居場所はだんだんと消えていった。 自分の生きている価値ってどこにあるんだろう。 そんなふうに何度も自分に問いただしては自問自答を繰り返している。  いつもの牛丼屋かなぁ! いつもの駅、いつもの道なにも変わらないのに自分の気持ちだけ置いてきぼり。 「おーい、今帰り?」 前から声をかけてきたのはバイトの先輩だった。 「あっ。」 その時、ぼくの目には彼女が光って見えた。 先輩の隣にいる見たことない女性。 「あっ、はい。あの」 ぼくは言葉がうまく出なかった。 ぼくの目線がわかったのか先輩はすぐに彼女のことを伝えた。 「あー、新しく入ることになったコトちゃん よろしくな。」 「よろしくお願いします。」 笑顔で軽く会釈をする。 あの時の衝撃はいまも覚えている。 あの一瞬だったのに、ぼくの中では何かが変わり始めた。
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