【4・橋口美穂】

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そして…。 私は、改めて先日の『断捨離』で、すっかり綺麗になった自分の部屋の中をぐるりと見渡してみた。 「いやぁ、やっぱり整理整頓された部屋っていうのは、気持ち良いなぁ」 先日まで…あちこち部屋中に散乱していた漫画や小説も、今はきちんと本棚に収まっている。 とは、言え…それらの本のほとんどが表紙カバーやら、しおりやらが無くなってしまっていた。 先日の断捨離の時に、私は本棚やテレビの裏っ側にそれら表紙カバーやら、しおりやらがバラバラになって落ちているのを見付けたのだが… 何か面倒臭くて全部、捨ててしまった。 まあ、表紙カバーが無いからといって別に本の内容が変わる訳じゃないし。 しおりだって無けりゃ無いで代用品なんかは、探せば有るものだ。 と… 不意に、今度はその本棚の横に立て掛けてある…一冊の卒業アルバムが目に留まった。 「おおっ!高校の卒業アルバム!めちゃめちゃ懐かしいっ!」 私はその卒業アルバムを手に取ると、缶ビール片手にパラパラとめくり始めた。 いやはや…この友人、あの友人。 本当に皆、懐かしい顔ぶればかりだ。 そして… 私は、ある男子生徒の顔写真を見付けた。 「わぁ!結城君!元気してるかしら」 そこには、前髪パッツンでお坊ちゃん風の男子が笑顔で写っている。 彼の名前は、結城結城… じゃなくて、結城勇気君! 私の高校時代のクラスメイトだ。 当時、彼と私は妙にウマが合いよく放課後にお喋りなんかをしたものだ。 実は、結城君…ちょっと『不思議なチカラ』を持ってるのよね…。 あ、言っとくけど私と結城君は別に、付き合ってたって訳じゃないよ! まあ、高校時代によく遊んだ仲って事かなぁ…。 確か…現在、彼は大学生のハズ。 時期的に春休みの真っ最中じゃないかな…。 久しぶりに、明日にでも電話してみようかしら…。 「あ、もうこんな遅い時間!そろそろ寝よっと」 私は、立ち上がると卒業アルバムを仕舞い、寝支度を始めた。
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