30人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
そして…。
私は、改めて先日の『断捨離』で、すっかり綺麗になった自分の部屋の中をぐるりと見渡してみた。
「いやぁ、やっぱり整理整頓された部屋っていうのは、気持ち良いなぁ」
先日まで…あちこち部屋中に散乱していた漫画や小説も、今はきちんと本棚に収まっている。
とは、言え…それらの本のほとんどが表紙カバーやら、しおりやらが無くなってしまっていた。
先日の断捨離の時に、私は本棚やテレビの裏っ側にそれら表紙カバーやら、しおりやらがバラバラになって落ちているのを見付けたのだが…
何か面倒臭くて全部、捨ててしまった。
まあ、表紙カバーが無いからといって別に本の内容が変わる訳じゃないし。
しおりだって無けりゃ無いで代用品なんかは、探せば有るものだ。
と…
不意に、今度はその本棚の横に立て掛けてある…一冊の卒業アルバムが目に留まった。
「おおっ!高校の卒業アルバム!めちゃめちゃ懐かしいっ!」
私はその卒業アルバムを手に取ると、缶ビール片手にパラパラとめくり始めた。
いやはや…この友人、あの友人。
本当に皆、懐かしい顔ぶればかりだ。
そして…
私は、ある男子生徒の顔写真を見付けた。
「わぁ!結城君!元気してるかしら」
そこには、前髪パッツンでお坊ちゃん風の男子が笑顔で写っている。
彼の名前は、結城結城…
じゃなくて、結城勇気君!
私の高校時代のクラスメイトだ。
当時、彼と私は妙にウマが合いよく放課後にお喋りなんかをしたものだ。
実は、結城君…ちょっと『不思議なチカラ』を持ってるのよね…。
あ、言っとくけど私と結城君は別に、付き合ってたって訳じゃないよ!
まあ、高校時代によく遊んだ仲って事かなぁ…。
確か…現在、彼は大学生のハズ。
時期的に春休みの真っ最中じゃないかな…。
久しぶりに、明日にでも電話してみようかしら…。
「あ、もうこんな遅い時間!そろそろ寝よっと」
私は、立ち上がると卒業アルバムを仕舞い、寝支度を始めた。
最初のコメントを投稿しよう!