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【9・結城勇気】
僕…大学生の結城勇気は、『あの缶ビール事件』を解決して以来、高校時代のクラスメイト、橋口美穂さんとちょくちょく会うようになった。
そんなある日の日曜…。
僕と彼女は、とあるファーストフード店でお喋りをしていた。
「いやぁ、結城君!
この間は本当にありがとうね!お陰であのお婆さんの夢を見る事は無くなったわ!モヤモヤも少しは、解消したかも」
橋口さんがニコニコ笑顔で快活な声を張り上げた。
「うん!良かったなぁ!僕もホッとしたよ」
僕も笑いながら、それに応える。
まあ…結局、あのお婆さんが一体、何者で…なぜお婆さんの霊が『このビールは、私の物よ!』と、主張したのかは…未だに分からず仕舞いだけど…。
と…
「それでさぁ!結城君!
ちょっと聞いてよぉ!カナリ笑っちゃう話なんだけどさぁ!」
彼女が引き続き大声を張り上げた。
「実は、私…
あのビールのご愛飲キャンペーンに応募なんてしていなかったのよ!」
「は??」
彼女の言葉に…僕は思わず、ぽかんと口を開けてしまった。
「そ、そうだったの?」
ちょっと…意味が分からない。
だって…こないだまで、橋口さんは「あのビールは、私が懸賞に当選してゲットしたんだから、間違いなく私の物よ!」
って、あれほど強く主張していたと言うのに…。
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