【終・綾波静子】

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そして… 更に、月日は流れ… 遂に!私は、木村氏との約束の入居一ヶ月めの朝を無事に迎える事ができたのだった! 「よし!一ヶ月間、何事も無かった訳だし…後で木村さんに電話して正式にD棟の入居契約を結ぶ事にしましょう! こんな素敵な家で…騒音でのモヤモヤとは、無縁の老後を過ごせるなんて…本当に夢の様だわ!」 私は朝食と家事を済ませると、日課の散策へと出掛けた。 そして、お気に入りの道…『いつもの散策コース』に歩を進める。 と… ふと、見ると… ただでさえ道幅の狭い、私のいつもの散策コースに…一台の乗用車が『でん!』と、停まっていた。 「ええっ?何よっ!全く!邪魔ねぇっ!」 私は、毒づいた。 と、同時に… 私は、『ある事』に… 気が付いたのだ。 普通… 『いつもの通り道』に… ある日、突然に訳の分からない『障害物』が現れたりしたら… 普通は、アタマに来るのではないだろうか…。 もし、その障害物が誰かの家だとして、そこに人が住んでいたとしても… 決してそこを通る時に謝る気になんて…到底、なれないのではないだろうか…。 だとすると… あの霊たちは… いつも通る霊道を塞いで住んでいる、この私に… 一体、『何を謝罪している』と言うんだろう? と、その時… 不意に、私は… 『ある事』に気付いた。 そう言えば… 最近の私… 食べても、食べても、 痩せて行く………。 『ゴメンナサイネェ…』 『ゴメンヨォ…』 『申シ訳ナイッ…』 『済マンナァ…』 『スイマセンデス…』
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