【2・橋口美穂】

1/5

30人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ

【2・橋口美穂】

私の名前は、橋口美穂。 私は、とある商社で経理の仕事をしているOLだ。 二ヶ月前にカレシと別れてから、ずっとフリーの状態。 現在、アパートで独り暮らし中である。 さて! 今夜は、土曜日… 明日は、休日だ! 「はい!ただいまっと!」 自分のアパートに帰宅した私は、今しがた近所のコンビニで買って来た缶ビールやスナック菓子、雑誌などが入った袋を部屋のテーブルの上にドサリと置いた。 そして、その場に腰を下ろし袋の中身をテーブルの上にずらずらっと広げると、缶ビールのリングプルをプシュッ!と開け、鼻歌混じりに雑誌をパラパラとめくり始めた。 「さぁて!懸賞チェック!懸賞チェック!」 実は、最近…私は雑誌とかに載ってる懸賞の応募に、めちゃめちゃハマりまくっているのだ! コスメやバッグ、靴や食料品、映画やコンサートのチケットなどなど…探せば懸賞の応募企画って、本当にあちこちに有るのよね。 まあ、外れる事が大半なんだけど…それだけにたまに当選した時の喜びは、本当に格別! それに、例えダメモトでも応募葉書を書く時のワクワク感が結構、私は好きなのよねぇ。 だから私は、そういう懸賞の記事を見付けると、ほとんど手当たり次第に応募している。 最近では、今夜みたいに土曜の晩になると… 近所のコンビニでビールや雑誌などいろいろ買って来て、自分の部屋であれこれ懸賞の応募企画をチェックするのが、私の週末の楽しみになっているの。 仲が良い友達は皆、週末はカレシとデートなんで… 独り身の私の週末は、もっぱら『ソロ活動』なのよねぇ…。 とは、言え… 最近の私は「しばらくの間は、カレシいなくても良いかなぁ」と、思っている。 二ヶ月前に私が恋人と別れたのは…当時のカレ、佐々村冬雄の浮気が原因だった。 「何か…恋愛に疲れちゃったわ…」 まあ、確かに週末ともなると、『独り身の寂しさ』をちょっぴり感じる時も有るけど… それと同時に『独り身の気楽さ』をも実感する。 今の私にとっては…その気楽さの方が断然、心地好い。 私が懸賞応募にハマり始めたのも、この独り身のソロ活動がきっかけだと言えるかもね。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加