プロローグ

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「みどりちゃん、沖縄での生活楽しみだね」 わたしは無邪気な笑顔で微笑んだ。 「うん、楽しみだね。って、真理子どうしてパンフレットを集めているのよ? わたし達は仕事で来たんだよ」 みどりちゃんはまるで鬼のように頭に角を生やしそれはもう怖い顔でわたしのことを睨んだ。 「えっ、だって、楽しそうなんだもん。シーサーがようこそって笑っているんだよ」 わたしは、シーサーがニコニコ笑っているパンフレットをじゃーんとみどりちゃんに見せた。 そんなわたしに、みどりちゃんは「遊びじゃないんだからね」と言ってさっさと大股でスタスタ先に歩いて行ってしまう。 「待ってよ、待ってよ。みどりちゃん」 わたしは、集めたパンフレットを地面に落っことしては拾いみどりちゃんの後を追いかけた。 懐かしいなとわたしはぼんやり一年前のあの日を思い出していた。
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