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その日は、わたしが働いているホテルの公休日だった。
よく晴れていて真っ青な沖縄の空がキラキラ輝いている。それから南国沖縄の花の代名詞とも言われている毎日花を咲かせるハイビスカスもいつもより綺麗に見えた。
「みどりちゃん、今日は良いことがありそうだよ~」
わたしは、真っ赤なハイビスカスの花を眺めながら言った。
「そうかな? もう暑くて汗がタラタラ垂れて暑いだけだよ。真理子は能天気でいいね」
みどりちゃんは、いつも失礼なことばかり言うのだから嫌になる。
「ふん、前向きって言ってよ」
わたしはぷくぷくぷくーと頬を膨らませた。
「真理子、その顔、風船みたいだよ。それかフグみたいだよ~まあ、真理子は前向きなところだけが長所だもんね」
「みどりちゃん、それって酷くない~他に取り柄がないみたいじゃん」
みどりちゃんはわたしの言葉を無視して、「さあ、真理子行こう!」と言って歩き出した。
「待ってよ~みどりちゃん」
わたしは、みどりちゃんの後を追いかける。
「真理子、那覇行きのバスが来たよ。早くしないと置いていくよ」
くるりと振り返ったみどりちゃんのサラサラのストレートヘアが風に靡いた。
わたし達は、バスに乗り那覇へと向かった。そして、わたしとみどりちゃんを待ち構えているあの張り紙に出会うことになるのだった。
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