プロローグ

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那覇にバスが着き、わたし達は降りた。さあ、たくさん買い物をしよう。そう思うと嬉しくなりるんるんと声も弾んだ。 「みどりちゃん、シーサーをいっぱい買おうね!」 「あのね……真理子の部屋はシーサーで溢れかえっているでしょう? まだ買うの?」 みどりちゃんは、ふぅーと溜め息をついた。同じ歳の二十五歳なのにみどりちゃんはわたしのことを子供扱いするのだから嫌になる。 分かっている。わたしは人より幼くて幼稚なことなんて。 「うん、シーサーってとっても愛くるしいんだもん!」 「真理子、あの鼻が上を向き口が大きくてライオンや狛犬に似たシーサーが可愛いの?」 みどりちゃんは不思議そうに首を横に傾げわたしの顔をじっと見た。 「うん、可愛いよ」 わたしは、ニコニコ笑った。 因みにシーサーとは沖縄県で見られる伝説の野獣。家や人に災いをもたらす悪霊などを追い払う沖縄の守り神で魔除けみたいなものらしい。よく沖縄県などの屋根の上に設置されている。 観光客のお土産としても人気で置物などいろいろある。
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