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* 始業式を終え、教室に帰ってきた。 担任は去年同様ハゲゴリラで、今は前に立っている。 「えー、去年クラスが違った人もいると思うから、自己紹介しようと思う。」 当たり前のことをドヤ顔で言うハゲゴリラ。 教室は一気に騒がしくなる。 去年もほとんどこのメンツで自己紹介したのに、何がそこまで盛り上げるのだろうか。 ──去年の自己紹介。 それはもう、中学からの同級生に、「よ!組長!」なんて野次を入れられて散々だった。 というか、自分の何を紹介すればいいのかよく分からないから、自己紹介は嫌いだ。 とりあえず、今年も友達ができそうな自己紹介を考えるだけ考える。 私は、七桜。出席番号順だろうから、少し時間に猶予がある。 えっと、趣味は読書、部活は薙刀部、座右の銘は明日があるから大丈夫…。 そのとき急に左肩を叩かれた。 「…なぁ。」 「……え?」 肩を叩いた主は、隣の席に座る例の知らない人。正直、驚いた。だって、私に話しかける同級生なんて葵以外いないから。 「…何?」 「お前が噂の七桜?」 あら、初対面なのに、口が悪い。 というか、私がヤクザの娘だってバレてる。 …まぁ、そりゃそうだよ。なんてったって、この街、牛耳ってるもんね。ウチ。 「そうだけど?」 私は、もうこの際だからと思い、堂々と返事をする。 すると、その人は、くくくっと笑い、 「覚悟しといてね。」 と一言残した。 「なんの話?」そう口を開こうとした瞬間、ハゲゴリラが手を叩く。 「静かに!じゃあ、一番の飯田から!」 私がモヤモヤしたまま自己紹介は始まった。
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