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家についてすぐにお父さんの部屋に向かった。一人で行くからと葵とは離れた。
「ただいまー。用事って?」
私がふすまを開けて中を見ると、座布団に座るお父さんとお母さんがいた。
笑顔でお帰りと言った二人からは厳かな雰囲気が感じ取れた。
…何かあったのだろうか。
何というか、写真とかそういう雰囲気ではない。
私が二人の向かいの座布団に静かに座るとお父さんが口を開いた。
「単刀直入に言う。『情報屋』へ挨拶に行って欲しい。」
「…は?」
私は訳がわからず聞き返す。すると、今度はお母さんが口を開き、
「四月になったら挨拶に来てって言われてたから今夜行こうと思ってたの。でも、今日隣町の松山組と会合が急に入って…。」
と、私と目を合わせずに言った。
…そこまで聞いただけでも何が言いたいのかなんとなく察しはつく。
「…ダブルブッキング?」
「そう!」
私は、今日何度目かわからないため息をついた。
「危険じゃないの?」
危険な目に自分から飛び込んでいく奴なんていない。
私だって例に漏れずである。
眉を顰めて問う私に対して、お父さんは鼻の穴をぷかーと膨らませて、
「大丈夫さ。詩織は強いし、不安なら葵を連れて行けばいい。」
と言った。
まぁ、そりゃ私は弱くないだろうけどさ…。
「否定しないってことは、安全じゃないのね…。」
そんな私の呟きを無視して、二人は私の強さについて語り始めていた。
…もうここまで来たら、腹を括るしかないか。
「どこ行けばいいの?」
私のため息混じりの言葉にお父さんはあぁ、そうだったとこちらを向き、
「駅前のカグラホテルの四階にあるラウンジ。そこで待ち合わせだ。」
と言った。
まぁ、こういうこと自体慣れっこだし、前線で戦わされたことのある私からすると、今回の話はまだ甘い。
私と同じくらい強い葵も連れていけば楽勝でしょう。
…まぁ、この私の考えも甘いのだろうが。
「あ、そうよ。詩織。」
「何?まだなんかあるの?」
「ふふふ。写真、撮りましょ?」
今更気づいたが、笑顔のお母さんの後ろにカメラが置かれていた。
その後は、両親と写真を撮って、葵も交えてまた撮って。
最終的には七桜組全員集合!状態になった。
ほんとに、騒がしいんだから!
…でも、なんやかんや言いつつもこの家のことが大好きだったりする私です。
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