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過去の恋愛を振り返ると、交際人数は多い方だった。
このルックスのお陰もあってか非常にモテた。告白してきた女で、美人なら首を縦に振った。しかし誰も長続きしなかった。身体の関係を持たずに別れた女もいる。
性欲が薄かったのか、あまり抱きたいと思わなかったのだ。本能的には気持ちいい。昂った雄は素直に女の股を悦んだが、どうしても面倒なのだ。女はいちいち愛撫を求めたり、事後の会話も煩い。
元妻、万里子とも二人子供は作ったが、どちらも運良く一発で御懐妊だった。第二子誕生後以降、身体は重ねていない。夫婦としての夜の生活は破綻していた。ムラムラした時は自分で慰めるほうが手っ取り早い。感じ方もわかっている。
女の身体に興味がないわけじゃない。抱くなら美人がいい。ただ、それよりも、いかに人生の勝ち組に伸し上がるか、成功を掴めるか、一司はその方法を常に模索してきた。
それがどうだろう。性の快楽をそこまで求めずに生きてきた自分が、ゲイで女言葉を喋る厳つい男に啼かされているのだ。おかしい。最高におかしい。わかっているはずなのに一司は拒否をしない。
(治療だ……)
そう、これはあくまで治療の一環だ。刹那的な快楽だけに浸っていればいい。どうせ終わる関係だ。
「っん……ふっ、んんんっ」
唇を重ねたまま、胸粒からの感度に悶えた。指先で尖りを抓まれてはピンッと弾かれた。捻られて、引っ張られると、絶妙な力加減に腰の髄が蕩けた。気持ちがいい。切ない電流が中心部へと集まっていった。
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