愛を知る

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「いいえ、どんな事があっても、一司さんは二人の父親です」  万里子は毅然と言い切って、自分の想いを一司へとぶつけ続ける。 「私はあの子たちが望む限り、面会は続けてあげたいと思っています。実の父親の存在を否定してほしくないからです。一司さんが本気で嫌だと言うのなら、こちらも無理強いはしませんけど……」  さすがにその要求は厳しい。一司は難しい顔で答えた。 「……どう考えても無理だろ。倉林のお義父さんだって、再婚相手だって、認めないと思うけどな」  これから新たな幸せの形を築くのだ。実父など誰も求めていない。しかし、万里子はいいえと言った。 「再婚相手の方からは了承を得ています。それが子供のためになるなら構わない……と。父もその方をえらく気に入っているみたいですから反対はしませんでした。大槻家の御両親も既に御存知で、その上で面会は続けたいと仰ってます」 「え……?」  両親は何も言ってなかった。全部知っていて、今日行かせたというわけだ。驚き眼を向ける一司に万里子は四人で出かけた真相を明かした。 「再婚する前に、家族四人の思い出を作ってあげたかったの。急な離婚で子供たちには何も出来なかったから、今日は私も一緒に来させてもらいました。ごめんなさい……」 「謝るなよ……」  もういいと、一司は俯いた。
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