※雨の中の二人

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「かずちゃんの心を堕とせたら、ここを貰うって言ってただろ?」  濡れたスラックスを手で弄られ、太腿から臀部を厭らしく揉まれる。指先が割れ目をなぞってきたかと思いきや、奥の窄みをグッと押された。 「っひ……!」  短い悲鳴を上げた。久し振りの刺激に蕾が悦んだのだ。敏感にもほどがある。一司は弱々しく首を左右に振った。 「どうして? 約束守ってくれよ」   耳穴に舌先を入れられ舐められた。 「っあっ……んあ、神谷っ……待てって……ばっ」  唾液の音が脳まで犯してくる。 「待たない。かずちゃんも後ろが疼いてしょうがないんだろ?」  耳朶を食まれたまま、人差し指で後孔をクリクリと突かれた。濡れた下着が肉縁を厭らしく擦ってくる。 「このっ、変態っ……そういうこと言うの、やめろよっ!」  悪態をつきながら自らの顔を腕でクロスして隠した。 「かーずちゃん……ここまで来て、おあずけはもう無理よ」 「あっ……!」  腕はすぐに外され、両方の手首が掴まれた。露になった一司の顔は紅潮していた。 「……やだ、お顔が真っ赤」 「わ、笑うな!」  ムキなって吼えた。いざ、身体を重なるとなると恥ずかしくてたまらなかった。怖さもあった。一司は唇を強く結んだ。 「大丈夫、全部あたしに身を任せて。思い切り気持ちよくさせてあげるから……」  神谷の手が衣服にかかった。濡れたジャケットを引ん剝くように脱がされ、ワイシャツのボタンが外されていった。 「っ、神谷……俺、本当に……っ!」  最後の一線を越えてしまう。期待する半面、未知の世界に飛び込むことを怯えた。 「本当に限界なんだ。抱かせてくれ……愛してる」 「っ――!」  至近距離で強い愛を訴えられた。劣情に満ちた表情と声だった。ここまでして彼は自分を求めている。一司の肚は決まった。
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