※雨の中の二人

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「あっ、中でいっぱい出て……る」  精の迸りを直で感じた。打ち放たれた濃厚な白濁にわなないた。まるで熱水だ。熱を持ち始めた下腹に一司は腰を逃がしたが……。 「まだ動かないで。最後まで出させて……」 「んぁ……っ」  どうやら全て出し切っていないようだ。神谷は胴を小刻みに振るいながら、一滴も残さずに熱精を刷り込んできた。夥しい射液が一司の体内を塗りつぶしていく。 (腹が……おかしくなりそうだ)  甘く焼け焦げていくような感覚を覚えながら、一司は愛しい男の雄液(エキス)を最後まで受け止めた。 「かずちゃん……すっごくよかった」  放出を終えた神谷が額をコツンと合わせてきた。 「お前……出し過ぎ」  絶頂の余韻のなか、口から出たのは文句だった。 「だって、かずちゃんが好きにしていいって言うから……」 「そうかもしれねぇけど、最初から飛ばし過ぎ……んぅっ」   言葉は口づけによって遮られた。唇を優しく食み合ったあと、神谷は言った。 「かずちゃん、ありがとう……大好き。もう一生離さないからね」  幸せ満開の笑顔が咲いた。気のせいだろうか。彼の瞳が少し滲んでいるように見えた。 (ああ、俺だって絶対に離すもんか……)  神谷という愛しい光を……。 「……俺も……ありがと」  照れながらもそれだけを返すと、神谷が再び唇を重ねてきた。口づけは直ぐに深さを増し、二人は身体を繋げたままベッドの上で弄りあった。それは終わらない夜を証明していた。悲しみの雨音は消えていた――。
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