この面子にちょっと待った

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(なにが、どうなってやがる……)  予想すらしていなかった対面だ。それは一哉も結人も同じなのだろう。三人とも目を見開いたまま、時が止まったかのように静止した。 「はーい、ご対面! なーんちゃって」  気まずい空間に神谷の明るい声が響く。一司は覚った。仕組まれたのだ。 「神谷、てめぇ……やりがやったな!」  詰め寄って襟元を掴んだ。 「そ、そんなつもりはないわ……!」 「嘘つけ! よくもハメやがったな!」  首を振って否定する神谷に怒号を飛ばした。 「そうね、確かにいつも、かずちゃんの可愛いお尻に、あたしのデカブツがハマってるわよね!」 「「……え?」」  突然の爆弾発言に先に反応したのは一哉と結人だ。二人は驚きを隠せずにお互いの顔を見合っていた。 「っ……てめぇ、そういう意味じゃねぇだろ!」  顔から火が出る思いだった。一司は神谷の胸倉を強く揺さ振った。 「じゃあどういう意味よ。かずちゃんったらいつも気持ちよさそうに……痛っ!」 「ちょっとこの口、黙れよ!」  これ以上、好き勝手に喋られたら困る。次は両手で頬を抓って発言を阻止した。 「神谷、お前どういうつもりだ! こんな事をしやがって……」  狼狽えながら二人を呼んだ説明を求めた。 「だって、せっかくのお鍋だからみんなで食べたほうが楽しいと思って」  ナイスアイディアと言わんばかりに神谷は得意げに人差し指を立てた。 「ふざけんな……誰がそんな理由で納得するかよ!」  一哉と結人の反応を見るに、彼等も何も知らされていなかったとわかる。要は、神谷一人で計画し実行したというわけだ。
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