※出会いが教えてくれたこと

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「俺も気持ちいいよ……ああ、幸せだ。かずちゃん、大好きだ」 「俺も、幸せ……っ、好き……っんああぅ!」  揺れる世界の中、二人は幸福に浸りながら間近で見つめ合った。昂る性感に従って一司は腰を振った。その動きが絶頂への引き金となった。体奥を支配する肉傘が大きく膨れた。神谷が達したのだ。 「……はっ、あぁぁぅ……っんん!」  二度目の生種が射精(うた)れたタイミングで一司も白い飛沫を、ぷしゃりと放った。 「かずちゃん、止まらねぇよ……」  身体の奥が濃密な白濁で塗り潰されていく。この瞬間が好きだ。愛する男の熱がじんわりと染み渡る感触が、好きだと一司は瞳をうっとりと閉じた。 (ああ、溶けそうだ……)  幸福感に身体も心もグズグズにされていく。もっと欲しい。もっと神谷を感じたい。 「止めなくて……いい……っんんぅ」  絶頂の余韻の中、唇が重なった。二人はこのあと、何度も深い愛を確認し合った。  翌朝。一司は抱き潰された身体をなんとか起こして出勤の準備に入った。  神谷が用意したワイシャツには皺ひとつなかった。わざわざアイロンをかけてくれたようだ。靴下もインナーシャツも新しい。これは一司がいつ泊まっても大丈夫なように、彼がストックしているのだとか。 (腰が……おかしい)  プレスされたスラックスに足を通した時だ。鈍い痛みが駆けた。  二度目の行為のあと、止めなくていいと言ったせいか、神谷はとにかくしつこかった。一司の意識が飛ぶまで腰を振りたくり、終わりの見えない快楽を打ち込んでいった。身体の中も外も、彼の欲情で濡れされていった。
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