私は漫画で何を学んだ

私のバイブル３００円

　月曜日に私は生まれ変わる。
　毎週買っている漫画雑誌の発売日なのだ。一週間ずっとこの日を待っていた。私はいわゆる漫画オタクだ。
　好きな作品はもちろん、グッズやアニメ化の情報から巻末の作者コメントまで、隅から隅まで全て読む。
　毎週アップデートされる私のバイブルは定価３００円。女子高生でも十分払える金額にお礼を言ってチャリンチャリンとお布施を落とし、今週も読ませていただきますと心の中で正座する。
　気に入った作品は何度も読み返す。一コマ一コマ舐めるように見る。どうしたらこんなに凄い漫画が描けるのだろうと嘆息して、それから私も頑張るぞと創作意欲を燃やすのだ。
　絵を描くのが好きだ。小さい頃からずっとイラストを描いてきた。今通っている高校には漫画研究部がない。でも発表する場には事欠かない、ネットだ。年代も性別も関係なく全世界に繋がるコミュニケーションツールで同じ趣味の仲間と楽しく交流している。
　結構上手いんだよ私。 ＳＮＳでそれなりにいいねの評価を貰っている。神絵師と呼ばれるにはまだ遠いけど、フォロワー数は安定の三桁。私の漫画やイラストを待っていてくれる方も一定数確実にいる。
　オタクの自家本である同人誌はまだ作ったことがないし、それらの即売会にも行ったことないけれど、ここは田舎だから仕方ない。そういうイベントが開催される都市に行くには電車で三時間必要だからその欲求にはいつも蓋をしていた。いつかは本を作って参加したと思うけど、この前貯金を崩してｉｐａｄを買ったばかりだから金欠中。しばらく地味に暮らさなきゃ。