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「じゃ、また」
優利が先に降りる。
「……ああ、また、な」
また電車が動き出す。
俺は優利の姿が見えなくなるまで、窓の外を眺めていた。
……今年は、もう一回くらいは会えるだろうか。
さっきまですぐ近くにいたし、今までもそうだったはずだ。
だけど今は、この距離に怯える。
この気持ちのまま近づくのは、どこまでなら許される?
スタジオで見たものを思い出す。
肩? 手首? 腕? 髪?
……触れるのは、どれくらいなら、どこなら、自然だ? 知られないままでいられる?
ゆっくり息をする。
気づいてなかったら、きっと触れられてる。
でも触れたいと思うのは、気づいているからだ。
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