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隣にいられること
二十四日だろうが二十五日だろうが、クリスマスも通常運転。
昨日はワークショップ、今日は取材。それも、さっき終わった。
二十五日の昼下がり、辛うじてイベントムードが残る大通りを歩く。
ぶらぶらと左右を見ながら進んでると、歩道に面した大きなショーウィンドウの中身に注意を持っていかれる。
すぐ目の前の、冬物の衣装を纏った女性のマネキンを見上げた。
ウィッグの上に乗った洒落た濃い赤色のベレー帽をじっと見る。
あれは……紗姫ちゃん、かぶってたら可愛いだろうな。
景斗のあのマフラーもそうだけど、ここはいつもいいものが揃ってる。
今回は店内に入らず、駅に向かう。今日の用事は他にないし、後はゆっくり過ごせる。
のんびり歩いてると、前方の建物の壁にかかった色鮮やかなポスターが目に飛び込んできた。
豊かな色彩と幻想的な雰囲気が際立つビジュアルは一月に上演予定の劇団「Timeless」の新作だ。
ポスターに貼られたシールを見ると、チケットは「好評販売中」とのこと。
悔しい。あいつも紗姫ちゃんもいるなら絶対いいものになるだろうに。
……観れるかな。
劇団主催の三ノ宮さんと面識はあるし客演の誘いまでもらえてるけど、中々本公演を観劇できないでいる。今回のだって、予定がはっきりしないから席を押さえるお願いができてない。
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