近づける、こと

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 JIN さんは間を置くと、納得したように、ああ、とまた前を向いた。 「そうか、『Timeless』の客演だったな」  先に進む。 「お前もクリスマスに仕事か……ま、それはこっちもそうだが。まだ若いのに、惜しいと思ったりしないか?」 「思いません。それにJINさんだって三十過ぎたばかりじゃないですか」 「お前は四捨五入すればまだ二十歳(はたち)だろ。妬けるな……まだこれからだろ? 当たり前だけど、身体の基礎は今のうちにしっかり作っておけよ」  色々言われているうちに、廊下の奥に位置する多目的スタジオに着いた。ドアにJINさんの手がかかる。 「で、用があるのは中島(なかじま)か?」  俺が頷くと、彼はくっと笑った。 「本当仲良いな、お前ら」  それは否定しない。でも、仲が良いだけだ。
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