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接近戦だ。武器のリーチが短いから懐に飛び込んでいかないと攻撃はできず、距離を詰めようとするたび、相手がそれを防御するたび、腕がぶつかり合ったり掴まれたりする。
触れる度、そこに目が行く。
見始めて数十秒後、急に優利が何かに驚いたように顔を横に向けた。
目が合って、心臓が跳ねる。
――景斗?
唇がそう動いた気がした瞬間、隙を見た短剣が襲いかかる。
危ない――
でも優利は攻撃を避け、思い切り相手の手首に打撃を加える。その衝撃に短剣は弾き落とされ、スタジオの床に転がる。
その瞬間の相手の焦りにつけ込み、容赦なく壁際まで追い詰めていく。
最後、優利が相手の喉元にナイフを突き付ける体制で、二人の動きが止まった。優利の口元に、勝利を確信した笑みが浮かぶ。
背中に痺れが走る。鼓動が速まる。
二人が同時に構えを解き、こっちを見る。
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