29人が本棚に入れています
本棚に追加
「どう、『Timeless』の稽古場は?」
駅まで一緒に向かう途中、優利が聞いた。
「ホーム感がすごい……何て言うか、客演って感じがしないくらいリラックスできる。でも、やっぱり刺激が半端ない。さすがって思った」
お前がいれば、もっとよかったんだけど。
「本番――」
「六日から。楽が十六日。十日は休演」
すかさず言う。覚えていてほしい。
「わかった。観に行けるかわかんないけどな……」
そう言った優利の表情に悔しそうな色があって、嬉しい、と思った。
しばらくそのまま歩いてると、ふと優利が思い出したように鞄を漁り、ごそっと何かを取り出した。
「あ、そうだ。景斗、これ……」
ビニール袋で何かをくるんだ包みを差し出された。
「お前に。今日も寒そうにしてるし」
最初のコメントを投稿しよう!