近づける、こと

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「どう、『Timeless』の稽古場は?」  駅まで一緒に向かう途中、優利が聞いた。 「ホーム感がすごい……何て言うか、客演って感じがしないくらいリラックスできる。でも、やっぱり刺激が半端ない。さすがって思った」  お前がいれば、もっとよかったんだけど。 「本番――」 「六日から。(らく)が十六日。十日は休演」  すかさず言う。覚えていてほしい。 「わかった。観に行けるかわかんないけどな……」  そう言った優利の表情に悔しそうな色があって、嬉しい、と思った。  しばらくそのまま歩いてると、ふと優利が思い出したように鞄を漁り、ごそっと何かを取り出した。 「あ、そうだ。景斗、これ……」  ビニール袋で何かをくるんだ包みを差し出された。 「お前に。今日も寒そうにしてるし」
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