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後半の言葉に一気に冷静さが襲いかかってきた。
……友達、か。
そうだよな……
なら、他にも何かあげてる相手がいるのか、気になった。
でも聞かない。答えを知りたくない。
「紗姫ちゃんも言ってるだろ。クリスマスを恋人同士のイベントに仕立て上げてるのは日本くらいなものだって」
その名前に胸がうずく。
紗姫ちゃん……俺たちと同い年の俳優、池端紗姫さんのことだ。来月の舞台の共演者の一人。俺と同じ、客演だ。
彼女は十代半ばの頃までイギリスに住んでいた帰国子女で日本独特の習慣や風習の感覚が染み付いてないらしく、それらに対して時に鋭い突っ込みを言うことがよくある。
恋人同士のイベントって……そういう風に認識してたからこそ俺は……少なくとも、表面上は、何事もなく流そうとしてたのに。
「……それ紗姫ちゃんから聞かなくても、『11時間の距離』を読んだ時にわかった感覚じゃないのか」
今年の三月、彼女は優利と組んで一つの朗読劇を読み上げてる。元々は英語で書かれた二人芝居で、登場人物はイギリスに住む少年とオーストラリアに住む少女の二人だけ。
当然、観に行った。
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