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「あぁこんばんは」 「おぉ、今帰りかね。おかえんなさい」 「雪かきですか」 「いやそんな積もっとらんでしょう。ちょっと玄関周りを掃き清めてるだけですわ。大掃除のついでに」 「年末の初雪になりましたね」 「ここ数日で急に寒くなったもんなぁ」 本日、年末仕事納めの12月28日。 ようやっと面倒なウイルス騒ぎに振り回された一年が終わり、新たな歳へと踏み出す休暇期間に入った。 感染防止のため必要最低限の買い物だけして帰宅すると、自宅の門の側で箒を振っている隣家の田中さんがいた。 「鈴木さんとこも明日でいいから、ガレージあたりまでの雪は溶かしておきな。数日寒い日が続くって予報で言ってたぞ。玄関周りは凍ると危ないから」 おたくはまだ小さい娘さんたちがいるでしょう。 あの子らが転んでも危ないからね。 そう言い残して箒を立てかけると、隣家の玄関に消えていく初老の男性を見送る。 わたしは一言お礼を言って、言われた通り明日の朝にでも玄関からガレージくらいまでは適当に掃除をしようと思った。 「この程度の雪なら、お湯でも撒いときゃ融けるかな」 仕事ばっかりで忙くて、大掃除なんて毎年サボってるけど。 せっかくの年末休みだ。そのくらいやろう。 鍵を開けて、我が家のドアを開ける。 「ーーーただいま〜! お母さん、帰ったよ〜!」
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