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何でもないはずの冬の朝。 凄まじい轟音と悲鳴に叩き起こされて、はっと目を覚ました。 何が起こったのか分からない、低体温の身体はまだ上手く動いてくれない。 よろよろと部屋の外に出ると、姉妹の一人が転げるように廊下を走ってくる。 「何?! どうしたの?!」 「あ、あ、うち、うちが襲撃されてる! あ、熱いの、めちゃくちゃ熱い水が入ってきてる!!!」 「はぁ!? そんなものどこから? どこかの壁が壊されたの!?」 「違うの! 入り口からなの! どんどん水が入ってきてるのよ、早く逃げない、と」 「な、なんで入り口が開いてるのよ! あそこは春が来るまでがっちり閉じてあるはずでしょう?!」 「そうなんだけど! 今朝見に行ったら、理由は分かんないけど開いてたのよ。誰かが外に出たのか、とにかく危ないからすぐ閉めようとしたの! したら、すぐ近くで、突然大きな足音がして。すぐ外に人、に、人間、がっ!」 ほぼ発狂したように叫び喚く彼女の後ろから、室内全体を揺るがすような轟音が響いてきた。 こちらからだと死角になる曲がり角から、どんどん近づいてきた轟音の正体。 それに気づくのに、一体何秒かかっただろうか。 おそらく1秒もかからないまま、私も目の前の姉妹も一瞬で。 その高温の奔流に「飲み込まれた」。 「ッッッ」 悲鳴をあげる暇もなく、何が起こったのかも分からないまま。 ーーー私たちはそのまま、絶命した。
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