1人が本棚に入れています
本棚に追加
帰宅すると親のお帰りという声を無視して自室に入り鍵を閉めた。
箱を床に置くとドスンと音が響く。
「ちょっとリョウタ今の音何?大丈夫なの?」
口うるさい母だ。
「大丈夫だって。滑っただけ」
「ならいいけどご飯できてるからさっさと食べなさいよ」
「ハイハイ」
軽返事をすると、机の上にあるペン立てからカッターナイフを取り出し、段ボールに突き立てた。
テープに沿ってカッターを滑らせ箱を開ける。
これ……本当に新品じゃん。
箱の中から新品電化製品特有の臭いと発泡スチロールの臭いがする。
箱から中身を取り出そうと本体を掴み引っ張り出そうとするも、発泡スチロールがぎゅうぎゅうでなかなか出てこようとしない。
ふん!ふん!ふんぎゃ!!
「痛ッ」
何とか取り出せたものの、指先に鋭い痛みを感じ、見ると何故か指が切れ血が出ていた。掃除機を裏返し吸い込み口を見ると、芝刈機のような回転刃物がついていた。どうやらこれで指を切ったらしい。
なんで
こんな物騒なものなんでついてるんだ?
そして改めて見ると結構デカイな。
大鍋ほどのサイズはあろうか。これはもしや、前の持ち主も置き場に困って捨てたのか?でもそれならなぜ開封もしていないのか?
色々な疑問が沸いて出てくるが、とりあえず説明書を見ることにした。
説明書を読み、電源を入れると音声が流れ出した。
『オートプログラム、キドウ』
片言の音声を発した瞬間、機械から緑の光線が部屋全体に広がっていく。
『スキャン、シュウリョウ。キドウ、マデ、モウシバラク、オマチクダサイ』
そう言うと、掃除機の中央のブルーに光る画面上に数字が現れた。
これは、残り五時間後に使えるってことか?
ぐぅーと腹の虫が鳴った。そういえばこれに夢中で飯の存在忘れてた。
俺はロボットを放置してとりあえず飯を食べに居間に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!