ideal

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 私は冬が大好きだ。  降り積もったふわふわの雪は、かき氷のようにも見えて美味しそうだし、雪を踏みしめて歩く時のキュッキュという音は、何故だか胸が高鳴るし、暖かい部屋の中でストーブにあたりながら食べるアイスは最高としか言いようがない。  そして何より、雪は彼の存在を近くに感じさせてくれる。  私の住むアパートは、住宅街の人通りの少ない路地に面している。  路地には、私の住んでいるアパートと、右斜め前に空き家が一軒あるだけだ。  なので路地を通るのは実質、このアパートの住人か配達業者や来客者など、ここに用のある者だけと言っても大袈裟ではない。  雪が積もる季節には、2階の私の家の窓から、路地に残る足あとがはっきりと見える。  だからこそ私は冬が大好きなのだ。
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