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「もしもし」
「あ、葉山、綿飴終わった?」
我ながら唐突な。が、葉山はすぐに答えた。
「ちょうど今終わったところです」
「俺さ、今商店街の「漁り火」で飲んでんだけど。仕事終わりに寄らねえ?」
厳密にはまだ飲んでいない。それどころかまだ店にも入っていないが。
もし葉山が来られなければ、帰ろうと思った。
「・・・奥さんと一緒じゃないんですか?」
やっぱりそこ、気になるよな。
「それがさ、あいつ友達連中に会ったら女子会するとかなんとか言って、どっか行ったんだよね」
「あと20分くらい、かかるんですけど」
「全然大丈夫、飲んで待ってるから」
「はい、じゃあ後で」
目の前の居酒屋「漁り火」の暖簾をくぐりながら、俺は電話を切った。
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