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自宅から程近い場所にある図書館に立ち寄った俺は、暖かな日差しが宿る静かな空間の中で、本棚を眺めていた。心霊現象を集めたものから神事、都市伝説や土地に纏わる風習などの本をテーブルの上に積み、俺はネタ探しの一環と称してページを捲っていた。しかし本来の目的は違っていた。 ”圧死…重量のある物に押し潰されて亡くなること。” 部屋の中でそうなってしまった場合、ほとんどが箪笥の下敷きになったという事故だろう。しかし金井曰く部屋が荒れているわけでもない。どこかで圧死した遺体を部屋の中に運び入れたという形跡もないのだ。 だからこそ俺はこのような本を集めていたのだ。現実で考えられないのであれば、心霊現象の類だろう。 そして最大の疑問としては、何故田代優は俺のせいで殺されると言っていたのだろうか。 様々な本を読み漁っても答えは出なかった。
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