第112話「キャパオーバー」

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第112話「キャパオーバー」

「め、芽依っ、」 舐められるだけで胸が締め付けられ、切なくなってくる。 「気持ち良くない?ダメ?やめる?」 「ンッ、んうっ、んっ、も、もうちょっと、だけえっ」 けれど不思議とやめて欲しくはないのだ。 「ふふ、気に入った?鷹夜、穴の中も絶対感じるよ、、ん」 「んひっ」 穴の中心を舌先でくすぐられ、ほじられ、それが終わると下から何度も舐め上げられる。 それからひだを解すようにクルクルとなぞられて、また中心に戻る。 (ヤバいヤバいヤバいッ、何これ、なにっ、尻の穴ってこんなッ、こんなに気持ちいいのッ!?) 鷹夜の頭はこのとき少し馬鹿になっていた。 本来の彼なら「汚い菌とかいるし大体風呂入ったけど舐めて良いところじゃないし出て行くだけの為の穴だから口付けていい訳ないだろ!!」と言うところだろうに、このときばかりは初めての快感にとことん興奮していた。 芽依の方も案外普通に舐めれたな、と、何だかイケそうだと言う軽い気持ちで口をつけてしまったそこをずっと舐め回していて、それに対して喜んでいる鷹夜の反応に舞い上がってもいた。 (鷹夜、絶対アナルでイケるタイプ) そしてそう、強く確信していたのだった。 「んっ、気持ち、ンッ」 「いいの?どれがいい?」 「んっんふっ、ん〜っ」 吐息が穴に当たるのさえ気持ちいい。 「鷹夜?どれがいい?ほじほじされるの?」 「んアッ、あ、待って、全部いいっ、んっ、あんっ」 「あ。アンって言った。それ可愛いね」 「え、いや、んっ、あ、、あ、あ、こ、これなに?ほじほじ?」 「ん?ん、そう、、これ、か、、これ」 「んあんっ」 中心をほじられたあと、下からベロンと穴を舐められる。 芽依の舌はひだひとつひとつの凹凸を確認していくように舐めていて、鷹夜のそんな部分を他の誰も知らないだろうなと考えて興奮している。 鷹夜にとってはどれもこれもが初めて感じる刺激で気持ちが良かった。 「あ、ごめ、分かんないっ、全部良い、っふ、んっ」 「そっか。鷹夜、ちんこ勃った?」 「ん、んんっ、勃った、か、な?は、半分くら、いぃっ、んアッ」 「んー、、」 鷹夜が芽依の問いにそう答えると、彼は右手を鷹夜の股間に伸ばし、その半分程しか勃起していない性器を器用に扱き始めた。 「あっあっあっ!あふっ、あっ」 急に始まった手コキと尻の穴の快感が強過ぎて、鷹夜は背中をのけぞらせながら甘い痺れに喘ぐ。 (ヤバい、何でこんな声出んの、気持ち悪いッ) 本人がそう思っても、結局声は制御できずに馬鹿みたいに高く漏れ出ていくばかりだ。 「め、芽依、ちんこはいいっ、んっ、いいからっ」 「自分でできる?」 「え、あ、、んっ、自分でするからッ、んっ」 芽依に促されるまま、もはや射精する以外に鎮める方法が思いつかなかった鷹夜は自分の性器に右手を伸ばし、始めは遠慮がちに扱き始める。 「鷹夜、可愛い。好きだよ。いっぱい気持ち良くなろうね」 「んっウッ、芽依、はあっ、芽依ッ」 「鷹夜、好きだよ」 「ぅああっ、あっ」 しつこく穴をこじ開けるように舌先でほじられ、鷹夜の足に力が入り、ぶるぶると震えた。 彼は枕を左腕で抱きしめながら深く呼吸を繰り返し、自然と滲み出てきた涙を枕に染み込ませていく。 肉棒を扱く手はいつの間にか夢中で速くなってしまっていた。 「芽依、ヤバい出る、出るっ、ンッ」 「んー、、」 「ぁあっ、んっ、やめろっ、出るから、い、イクからあッ」 やめろやめろと言う割に、鷹夜は芽依にぐいぐいと尻を押し付けるように突き出している。 芽依は鷹夜の尻たぶを楽しそうにむにむにと揉んで、穴の中心を執拗に舐め続ける。 ビクンビクンと跳ね始めた鷹夜の背筋をなぞるように撫でると、満足そうに笑った。 「イク、芽依、、イクッ、だめ、来るッ、んっ、んウッ」 「鷹夜、好きだよ」 「あ、あぁあっ、、ん、んっ、ひっ、〜〜ッッ!!」 枕に顔を押し付けて声を殺す。 グッと全身に力が入り、背中や太ももに筋肉が浮いてカタカタと震えている。 普通に1人でする自慰行為の何倍も強い快感に溺れながら、鷹夜は自分の手の中に腰を跳ねさせながらだらだらと射精した。 芽依は背後からその様子を眺めて愛しそうに目を細め、射精が終わるまで鷹夜の尻の穴から口を離さず愛撫し続けていた。 「はあっ、はあっ、も、やめろ、もう、終わりにしてッ、芽依ッ!」 「ん、、いっぱい出た?見せて」 「みっせっねーよ!!」 肩で息をしながらギャン!と怒ると、芽依はそんな鷹夜に構わずニコニコしながらのしかかって来る。 「見せて〜、鷹夜のザーメン」 ぐぐ、と後ろから体重を掛けられ、鷹夜は腰を立てておくだけで精一杯だ。 芽依が鷹夜の右手首を掴み高く上げさせると、どろ、と白い液体のついた手のひらが見えた。 「いっぱい出たね」 背後で声がして、鷹夜はまたボンっ!と音がしそうな勢いで全身を赤くする。 「そう言うの言わなくていいから!」 「これ舐めていい?」 「はあ!?ダメだよ!!」 「でもいつか飲むことになるし、、」 「だから何の話ししてんだよお前ッ」 やっと身体の怠さが抜けてきた鷹夜は後ろにいる芽依を思い切り蹴り始める。 ドスッドスッと言う音が結構大きく部屋に響き、それはそれで家族が起きてしまいそうだなと思って威力を弱めた。 芽依は諦めたのか、鷹夜の手を離してベッドから降り、鷹夜の分のパンツとズボンを拾い上げ、ついでにティッシュの箱もベッドの上に置いた。 「だって〜、どうせ飲むよー?絶対。俺飲みたいなって思ったし」 呑気にそう言いながら自分のボクサーパンツを履き、今度はベッドの上に置いた鷹夜のパンツを取って彼に迫る。 履かせようとしている。 鷹夜はそれに気が付いて、ベッドの上に座るとティッシュに手を伸ばしながら「履かせなくていい」とそれを制した。 「ん、え?なに?」 「鷹夜のザーメン。あ、でもどうせなら口に直で出して欲しいかなあ」 「、、なに、何言ってんの?」 「今度は口に出してね。いっぱいフェラするから」 「な、な、な、な!?」 鷹夜のパンツを持ったまま、彼の目の前に立った男はべろん、と舌を出して彼に見せつけた。 (な、何の話しッッッ!!?!) 「う、ぁ、、」 「え?、、あれ!?鷹夜!?」 キュッと喉が締まったような感覚がして、鷹夜はそのままベッドの上で意識を手放してしまった。 ボフン、と綺麗に頭が枕の上に乗る。 今日はあまりにも情報量が多い日で、鷹夜の頭はパンクしてしまい、気を失ったようだ。 「うっそだろ、、!!」 キスもして、何回も好きだと言われ、キス現場を弟に見られ、応援され、夜になったら芽依のオナニーを見ながら自分もして、尻の穴を執拗に舐られながら自分の自慰行為の続きをして、射精した精液を見せろと言われ。 そして最後にいずれそれを飲むと宣言された。 正直、訳が分からない。 鷹夜にとってはいっぱいいっぱいになるくらい、驚きが満載な1日だった。 「気絶した!?」 芽依が慌てて駆け寄ると、鷹夜はすぴすぴと小さく寝息を立てている。 ホッと胸を撫で下ろし、芽依は鷹夜のパンツを一度置いて、彼の右手を綺麗に拭いてから性器も拭いてと、せっせと世話をしてパンツも履かせた。 「可愛いなあ。これからもっとすごいことするのに、気絶してて大丈夫か〜?」 短パンを履き直して落ち着くとズリズリと布団をベッドに寄せて、また鷹夜の寝顔を見つめながらギュッと手を握る。 眉間に皺を寄せた悩ましい顔で眠りについている男の頬をつつくと、むふ、と笑みが溢れた。 「、、ん、あれ?でも、まだ付き合うって言ってくれてないような、?」 そこまで来てやっと、まだまだ自分達が「恋人」ではないのだと気が付いてハッとした。
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