放置物件

「おい、社長が見にくるって言うじゃないか、あの物件」

「あ、先輩、そうなんですよ」

「ヤバいぞ、あれずいぶん放置してたから、メチャクチャ荒れてるだろ」

「画像、撮ってきたんですけど見ます？」

「うわ、植物で覆われてるじゃないか！　これはダメだ！」

「こっちも見てくださいよ」

「うわ、うぞうぞ動く何かちっこいのがいっぱい湧いてる！」

「ね、ヤバいですよね」

「ヤバいなんてもんじゃない。掃除だ、大掃除するぞ！」

「機械、借りてきます」

「おう、行ってこい！　……それにしてもひどい惨状だな。何年放置したっけな、えーと、ひい、ふう、……三十六億年か」

「先輩、生命分解惑星砲、借りてきましたよ！」

「よし、社長が来る前に全部取っ払うからな。この惑星、ええと何て名前だっけか——」

「あ、いっぱいいたアレたちは地球とか言ってましたよ」

「そっちの呼び名はどうでもいいよ、全部処分しちゃうんだから。お客さんに渡すには、きちんと綺麗にしておかないとな！」

「はい！」

《了》