*planB*

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 planB「は、はい。」    呆気にとられながらも、自動的に返事をしていた。  この状況・・・はい、と言うしかない、よね? ※作者注:planA 編は永遠に妄想に浸りたい人向けに後日執筆予定(笑)  そんな私の顔を真剣に見つめている彼。  やだ、そんなに顔、見ないで‥ドキドキするじゃん(赤面×顔が熱い)  すると、サングラスの、下にある口元が緩んで、口角がゆっくりと上に上がった。  白い歯、くしゃっとした微笑みに、私の目は釘付けになってしまった。  ああ笑顔すごい‥すごいパワーのある笑顔だ。  ボーッと見惚れてしまい、その後、あわわわってなり、私は口元を両手で覆った。息ゴクッと呑んでしまった。  そもそも、追われてるんじゃないの⁉そんな笑ってる場合じゃ・・・。なんて、自分のことより彼の心配してしまう。  すると、ニッ、とさらに彼の口角は上がり、 「大丈夫だよ。心配しないで。」 そう言って、彼は柔らかい手で、私の頭にポンポン、と優しく触れた。  サングラスの奥にうっすらと感じられる、美しく優しい瞳。  その時私は‥多分、目に涙が溜まっていたと思われる。涙腺からあったかいものがじわじわとこみ上げて、胸の奥も温かさに包まれた。よくわからないけど、大丈夫、らしい。  それに、このひと、何となくだけど、いいひとな気がするよ‥いや、この顔の感じで、悪人なんてあり得ないよ?  まだ確信とまでは行かなかったけど、さっきまでの緊張の糸がスルスルと解けて、大きな安堵の気持ちが胸に広がった。  曇っていた空に太陽の光がバーッと広がるような心持ちだった。  その気持ちと重なるように、サングラス姿の彼の表情が柔らかく優しいものに見え、眩しくて目を細めるほどだった。  彼は私の手を優しく握ったまま、細い路地の奥を「あっち」と指さして速足で歩き始めようとした。斜め後ろから彼の後ろ姿を見上げる・・・手、まだつないでてくれるんだ・・ずっと、こうしていたい・・。  そう、思わずにいられなかった。綺麗なうなじと首筋・・ついつい見つめてた。  今思えば。あの時なら、手を振りほどく自由もあったかもしれない。あの瞳の優しい彼なら、手を振りほどいたところで、むりに引き留めようとはしないだろう。逆に無理しなくていいよとすら言ってくれそうな気がする。  でも、私はその柔らかく握られた手を離そうとは思わなかった。たとえ、二度と戻れなくても。  だって、この人、きっと悪い人じゃない──。  ただそれだけのこと。それだけでも充分だった。昨日までの最低な日々のことも、様々な嫌なことも全て、すっかり手放しちゃってた。すーっと心が軽くなってた。きっと100万円なんて嘘だ、嘘なんだ─。しかしそんな私の心の中など知らない、と言った風に、彼は背筋を伸ばして、迷いなくゆったりと歩みを進めてる。私の手をやさしくつないだまま‥初めて会ったばかりの彼だったけど、これまでの誰より心を占領されてしまってた。もう、振り返れない、進むしかない、そんな気がした。 
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