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*アプローチ?*
「ねぇ、ちょっと」
結構な勇気が必要だったが、どうにか話しかけることができた。と言ってもただ呼びかけただけなんだけど。
すごいエネルギー消耗させてくれるわ。ハァハァ‥。
この時、どの立場で話すべき?って瞬間的にだけど、かなり考えた。一応、雇われてる身だから下から?でも、恋愛的には、上から話したい人なんですけど‥(←私が)恋愛的に話そうとしてる時点で、この勝負負けちゃってるけどね。笑。
何ていうか‥。
最初から、下から話すと、ずっと身分が固定されそうな気がして。どうでもいい人には、はい、すみません、とか言って下から話してテキトーに終わらせるんだけど‥好きになりそうな相手には特に、上から話してしまうの。馬鹿な女の癖パート2が、また顔を出した。
「何で今、カラオケ?」
あえての敬語なしで。
すると彼は言った。
「好きだから」
「‥‥?」
「君が」
「!!!!?!」
「君が、好きだと、思ったから」
ガクッ。
ちょっとちょっと何この、期待させて落とすオヤジ的な会話。(ムカっ)期待しちゃったじゃん笑
しかも、私がカラオケ好きだなんて。何で知ってる?
彼は、目を細めてニッコリ笑ってこう言った。「これデートなんだから、楽しいことした方がいい。ね、そうでしょ」
カァァ~~(赤面)。会ったばかりのイケメンから、いけしゃあしゃあと、デートですって。最近デートしてないしデートしようなんて言われたことすらないし。めちゃ赤面してしまうじゃん。
その言葉だけで、舞い上がってしまってた。バカみたい。
落ち着け、私。
「ふーん。デート、ってことだからね。でもよりによって、何でカラオケなのかなぁって思ったから」
ぶっきらぼうになってしまう‥この癖が憎い。
「歌うのが好きって、顔に書いてあるよ」
口元、優しく笑って言うの。何この人。かっこよすぎ・・・。そして私のことを見抜いてる。初対面なのに!
「私のことなんか、何も知らないでしょ!初めて会ったんだし。」
あぁ!何でこんな可愛くない言葉しか出てこないの(怒)私の馬鹿バカ!!
「‥どうしたの?行きたくないの?カラオケ。ほんとは歌いたくて、仕方ないでしょ?」
突然、斜めから覗き込むように‥。え、このひと、何だか、前から私のこと知ってるお兄さんみたいな口調なんだけど‥あぁやめてやめて〜!!その優しさはヤバい。抜け出せなくなる。
「て言うか、これ、仕事だよね」
・・・ああああ。私ってほんとに可愛くない女だ。
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