正しさへの憧憬

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「『女であること、忘れていませんか? 化粧品メーカー炎上』?」 「そーなんですよ!」  私がタイトルを読み上げながら疑問符を口にすると、ぴーちゃんの声が分かりやすく上がる。早口でまくしたてる。 「今時、化粧しない女の人もいるし、化粧する男の人だっているじゃないですか。時代の流れ的に、このキャッチコピーはないですよ。化粧品の広告を『女』にだけ向けてるのもおかしいし、化粧しない女の人は『女であることを忘れている』って言われてるんですよ? 腹立ちません? こういうのって、どうせ男の人が考えてるんですよね? 女の人が会議にいたら、ぜったいに反対するはずですもん!」  ぴーちゃんは、アイブロウもマスカラもアイシャドウもアイラインもチークもグロスもばっちり乗せた顔で怒っている。
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