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エピローグ
警察の事情聴取は後日ということになり、各々解放されていった。
一方で、とられていたスマホを回収した遥。いやー、これで一安心。なんて思っていたが、時間と通知を見て、あることに気づいた。
「あーーー!!!」
「んえっ!?」
災難にも隣にいた奏多も、もれなくビックリする。何があったのか聞く前に、遥の口は勝手に状況報告した。
「しまった! 俺、今は仕事の休憩中だったんだ!時間とっくに過ぎてる!」
「ええ!? で、でも、事情を話せば、今回はしょうがないんじゃ」
「しょうがないじゃ済まないんだよ! この前も許してもらったばっかだし!ハァ、これ絶対クビ確定だ。死ぬ」
「え、えーっと……」
あまりの勢いに、とりあえずマズい展開であろうことしか伝わってこない。英雄だったはずの遥は、強盗に遭った時よりも明らかに落ち着きがなくなっている。
「とにかく、俺は行くから! またな、うたくん!」
兎茶です。そう返す前に、走って消えてしまった。何とも慌ただしい。
「す、すごい人だったな」
呟くが、悲しいことに犯人を蹴散らした直後とは、明らかに意味合いが変わってしまっている。
嵐が過ぎ去ったように、ぽっかりと空白の時間が出来た。
(『相棒』……か)
ふと思い出して、貰った石を握りしめる。……どこか、遠くを見つめるように。
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