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散歩の続きかという緩さで戦場に入り込み、頭を掻いて声をかける。
「……あー、もしもし? そんなに殴り合いたいなら、もう少し静かにやれよ。周りの迷惑も考えてさ?」
『あぁ?』
突然やってきた部外者に目でも殺せそうなほどの鋭い視線が集中し、見るからに一般人ではない男たちがぞろぞろと向かってきた。
「んだよ、このひょろっちい優男は」
「いや、優男じゃねぇし」
「子どもの使いかぁ? 怪我したくなきゃどいてな。今はコイツらとの喧嘩だ、1度なら見逃してやる」
「……ふぅん。その様子だと、マジでただのチンピラか。面倒は少なそうで良かった」
「てめぇ……さっきから何言ってやがる」
この状況、数の戦力差は明らかだ。その中でも1番身体の小さいはずの遥は、1番悠然と構えて何かをボソボソ呟いている。
……しかし、それもここまで。相手の人数や武器を確認すると、雰囲気を変えて不敵な笑みを浮かべた。
「見逃してやる?ハッ、ここで駄々こねて怪我すんのはてめぇらの方だっつの。……俺の方からも忠告しておく。ここで引けば、大事にしないでおいてやるが?」
「あぁ!? 上等だ、そんなにサンドバッグになりてぇなら望み通りにしてやるよ……!!」
挑発にしか聞こえないセリフに乗っかり、武器を振り上げてくる男たち――
「…………ま、これで引き下がったやつなんて、見たことないけどな。とりあえずてめぇら全員には、正当防衛成立だ。」
――10分後にはもう、立っている者は1人もいなかった。
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