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「だって先輩、キスした時に手が震えてたじゃないですか! 大体鼻血吹いてる時点でどう考えても未経験だと──」
ずばずばつっこむ理乃の言葉に康太の頬が赤くなった。次の瞬間、こめかみに青筋を立てて低くつぶやく。
「くっそ……馬鹿にしやがって。ならこうだ‼」
物騒な言葉と同時にしゅるっとチノパンのベルトが引き抜かれる。理乃の両手が上に回され、ベルトで手首を拘束された。あっと言う間にベッドの足にべルトのはしがしばりつけられる。
理乃があっけに取られていると、どこか切なげな表情で康太がのしかかって来た。ただでさえ身動きが取れない上に腕を頭上で固定され、もう逃走は絶望的だ。
──この手際の良さはそういう趣味が!?
動揺しながらおののくと、再び厚い胸板に力強く抱きしめられた。耳の後ろで息を吐く彼の短い呼吸が聞こえる。
「うわあっ、ちょっとっ‼」
頬を頬へとすりよせられて、びくっと肩に力が入る。首筋に当たる彼の呼吸に思わず唇を噛みしめた。
「──いい反応だな。やっぱ初めてじゃなかったのか」
ぼそっと言われ、康太を見る。
少しだけ顔を離した彼はどこかほの暗い表情で笑った。
「なんだ、結局舞い上がってた俺の方が馬鹿みたいじゃねーか。半年なんて眺めてないでとっととやっちまえばよかった」
抱きしめていた彼の手が離れ、足元のスカートによって来る。
──うわっ、まずい! 今度こそまずい‼
理乃は今までで一番あわて、バタバタ足を動かした。
「まっ、まった‼ 待ってください──、今日のパンツは可愛くないんです‼」
絶叫にも似た理乃の訴えに、康太が再度ぽかんとした。
理乃は耳まで真っ赤になった。理乃自身だって重要視すべきがそこじゃないのはわかっているが、乙女心はもっと大事だ。スカートに手を触れたまま、康太があきれ果てた顔をする。
「……あのなあ。パンツとセックスするわけじゃねえんだ、大切なのは中身だろ? 大体今さら何言って──」
「いやいやいや、本当に! でっかいなめこ柄のパンツとか、ほんっとありえない柄なんですって‼」
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