成人式の日に

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1週間前、翔君から電話があり、成人式に亮太を連れて行きたいと言ってくださったのです。 6年前、部活帰りにオートバイとトラックの事故に巻き込まれ中学2年の若さで逝った息子。 月日が経ち、忘れられてるかもしれないと思って過ごして来た私達夫婦は嬉しくてたまらなく、電話に向かって頭を下げた位でした。 私達は成人式と言う区切りもあり、亮太のお墓参りに向かいました。 お墓に着くと亮太が眠る墓石の前は幾つもの足跡で踏み硬められ、綺麗なお花が供えられていました。 「あの子達、家に来る前に寄ってくれたのね」 私は有り難さで少し声が震えてしまいました。 「・・・・・・」 主人は何も言わずお線香を手向けています。後ろから見ると、心なしかその手と肩が震えていた様に見えました。 「お父さん、手が震えていますよ?」 と少し笑いぎみに話しかけると。 「雪掻きしたからな!腕がつかれてるんだ!」 ぶっきらぼうな言い方でしたが、後ろからでも主人の涙を堪えているのがわかりました。
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