足跡

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榊原さんは亮太が事故にあった時にオートバイに乗っていた方で、その時に足に大怪我をし、杖が必要な体になっていました。 榊原さん自身も長い入退をし、退院した時は真っ先に亮太の焼香に来てくださいました。 その時に自分が気をつけていればと泣きながら私達に謝って下さいましたが、原因はトラックの運転手の不注意で榊原さん自身も被害者でありました。 私は不義理な事がわかってしまうのを承知で御住職に尋ねました。 「あの、榊原さんはよく来て下さってるのでしょうか?」 「はい、お墓が出来てから毎年命日に来ていますよ」 ご住職は逆に私達に尋ねる様な返事をされました。 「えっ?毎年ですか?」 私は驚き、一緒に聞いていた主人は言葉も出て来ませんでした。 御住職に御礼を言い、お墓を後にしました。
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