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光一の手の温もりが李花に伝わり、李花の手の冷たさを光一が吸い取り、二人の手の温度が同じになっていく。
ずっと東京に憧れていた。でも結局東京には居場所がなくて、茨城に戻ってきた。茨城で働いていても、こんなところにいたくないと思っていた。でももう一度東京に出て行く勇気もなくて、ずっと宙ぶらりんだった。
李花と光一の周りには、どこまでも蓮田が続いている。泥の中に根を張る蓮は、秋にはおいしいレンコンを実らせる。
田舎なんて嫌いだと思っていたのに茨城に戻ってきた二人。ここで、光一と一緒に根を張っていきたい。李花は光一の手を強く握り返した。
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