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「光一が東京に行ったくらいで、世界一のレンコンがなくなるのは嫌だと思った。自分の子どもにも孫にも、父ちゃんのレンコンを食べさせたいって思った。『継ぐ』って考えると負担だけどさ、『繋ぐ』って思ったら楽になったんだ」 「繋ぐ……」 「おいしいレンコンの味をずっとずっと繋げていきたい。父ちゃんが持っているバトンを受け取る人がいないんなら、私が受け取りたい。そう思ったんだ。だから私も、息子たちがバトンを受け取りたいと思うように頑張っているんだよ」  李花は開店パーティーにいた光一の甥っ子たちの姿を思い出した。レンコンを使った家庭料理は子どもたちには人気がないのではないかと思っていたが、甥っ子たちは我先にと美味しそうに食べていた。 「あ! 倉川さんまだ帰ってなかったんだ。良かった!」  突然光一の声が聞こえ、李花の心臓は跳ね上がった。 「あれ? 姉ちゃんなんでここに?」  実穂子はにっと笑うと「邪魔者は退散するけど、言うべきことは言ったほうがいいと思うよ」と李花と光一の顔を交互に見てから去っていった。  不審そうに実穂子の背中を見送っていた光一だったが、実穂子の姿が見えなくなると改めて口を開いた。
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