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「あの、食器の件、もしかして迷惑かけちゃったんじゃないかって心配してたんだ。あれからカフェにも来なくなったから、何か嫌な思いをさせたんじゃないかと思って」  光一の声は切実だった。それを言うために、わざわざ追いかけてきたのだ。李花の胸が苦しくなる。勝手に好きになって勝手に止めようとして、一番傷つけたくない人を傷つけていた。 「違うんです。私のほうこそ、閉店前に全然お店に行けなくてすみませんでした」  遠くからこういち~と呼ぶ声が聞こえる。この声は光一の母親だ。パーティーの主役をいつまでも引き止めるわけにはいかない。でも、言うなら今だ。 「あの、来栖さん」  李花が声を振り絞って呼ぶと、声のするほうを振り返っていた光一が李花に向き直る。鼓動が速くて息が苦しい。息継ぎしなくていいように、一気に言ってしまおう。 「私、来栖さんが好きなんです。もし良かったら、私と」  お付き合いしてもらえませんか、と言うつもりだった。 「結婚してもらえませんか?」
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