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「いやぁ、いい食器が買えて良かったよ。ありがとう、倉川さん!」  光一の清々しい表情を見て、李花も嬉しくなった。  帰りの車ではタスクが一つ完了した達成感もあって会話が弾んだ。夕陽を浴びた筑波山は、いつもと違う方角から見ているのでまるで違う山のように見える。  盛り上がっていた会話が途切れた瞬間に光一がふと、「……お客さん、来てくれるのかな」と小さな声で呟いた。 「え? 来てくれるに決まってますよ! 何言ってるんですか」  李花は明るく言い放ったが、光一の表情は東の空を染めはじめた夕闇のような色をしていた。 「つくばの中心地に近かったカフェと違って、レストランは田んぼのど真ん中でしょう? わざわざ来てもらわないといけない場所だからさ」  光一が弱々しい声で言う。こんな光一を見るのは初めてだった。 「でも、レストランをオープンするのはご実家の近くじゃないですか。小学校とか中学校とか、地元の友達が来てくれますよ」  それを聞いた光一が笑った。ひどく乾いた笑いだった。 「実は僕、地元の友達いないんですよ」
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