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 赤信号で車が止まったのと、光一がそう言ったのは同時だった。 「中学高校時代なんて『田舎なんて嫌いだ、東京に出ていってやる』って豪語してたし。昔言ってたことと今やってることがちぐはぐなんですよ」 「来栖さん、田舎が嫌いだったんですか?」  そんなところに共通点があるとは思いもよらなかった。 「そうそう。だから僕、地元が一番とか言ってるくせに、同窓会って行ったことないんです。あの頃を知っている奴らに合わせる顔がなくて」  同窓会に行かないのは李花も同じだ。窮屈な田舎を抜け出したいと思っていたのに、結局茨城の小さな印刷会社で働いていると昔の同級生に知られたくなかった。  心の奥の深くて暗い場所に、お互いよく似たものがあるとは知らなかった。  光一をカフェロートで降ろし、李花は自宅へ帰った。ラジオもつけない車内はいつもより静かに感じられた。
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